英語の強調による倒置は、文章の一部を際立たせ、より強い印象を与えるための文法的手法です。そのニュアンスを出すために、強調したい語が文頭に来ます。その際の原則は以下のとおりです。
目的語以外の、あらゆる語/語句が文頭に出ることで、その文の主語・動詞は、V・S(動詞・主語)にひっくり返ります。
以下順を追って、各文型ごとに注意点など確認していきましょう。
見出し
- SVOのの倒置
- SVCの倒置
- 文頭に副詞/副詞句を持ってくる倒置
- SVOO/SVOCの倒置【ほぼ起こらない】
- 強調倒置構文の総括と注意点
目次
SVO(主語+動詞+目的語)のパターン
例文1
- A book I have written.
- 訳:(私は)本を書いた。
- 解説:通常は「I have written a book」となりますが、「A book」を文の先頭に持ってくることで、書かれた本そのものに強調が置かれます。
例文2
- This secret never have they discovered.
- 訳:この秘密を彼らは決して発見していません。
- 解説:「They have never discovered this secret」という通常の語順から、「This secret」が先頭に来ることで、秘密そのものへの強調が強まります。
SVC(主語+動詞+補語)のパターン
例文1
- An artist is Nancy.
訳: 彼女は芸術家です。 - 解説: 「Nancy is an artist」という通常の表現から、「An artist」を文頭に出すことで、ナンシーの「芸術家」という身分に焦点を当てます。この文はSVCなので倒置の原則にしたがってSV→VSとひっくり返り、結果としてCVSの語順となっています。
例文2:代名詞が主語の場合のSVCの倒置
- Tall he grew.
- 訳: 彼は背が高くなった。
- 解説: 「He grew tall」という通常の語順から、「Tall」を文頭に出すことで、彼の成長に焦点を当てます。この文はSVCですが、Sが代名詞であるため、主語・動詞の倒置は起こらず、SVの形が保たれます。
強調倒置:文頭に副詞/副詞句がくる場合
場所や方向を表す副詞句が文頭にくる場合
例文1
- Behind the door stood John.
- 訳:ドアの後ろにジョンが立っていた。
- 解説:通常は「John stood behind the door」となりますが、「Behind the door」を文頭に持ってくることで、その場所に強調が置かれます。
例文2
- On the table lies a book.
- 訳:テーブルの上に本が置かれている。
- 解説:「A book lies on the table」という通常の語順から変更することで、テーブル上の状況に焦点を当てます。
時間を表す副詞/副詞句が文頭にくる場合
例文
- Tomorrow begins a new adventure.
- 訳:明日、新たな冒険が始まる。
- 解説:「A new adventure begins tomorrow」とSV+副詞の形から変えることで、時間の経過やその瞬間の重要性を強調します。三人称単数のsが付いていてもそのまま、VSに逆転するところに注意。
比較を表す形容詞/形容詞句が文頭にくる場合
例文1
- More important is honesty.
- 訳:より重要なのは正直さです。
- 解説:「Honesty is more important」というSVC(比較)の表現から変えることで、「正直さ」の重要性を強調しています。原則どおりSV→VSの倒置が起きますが、文頭にはimportant単体ではなく比較表現more importantがセットとして来ることに注意。
例文2
- 「Least expected was the surprise.」
- 訳:最も予想外だったのはその驚きだった。
- 解説:「The surprise was least expected」というSVC(比較)表現から「Least expected」を前に置くことで、予期せぬ出来事の度合いを強調しています。上記と同様の考え方です。
比較表現はセットで、補語として文頭に出たと理解します。つまり、その後のSVの語順はVSとひっくり返ります。
例文3
- Faster than Ken runs John.
- 訳:「ケンよりも速く走るのはジョンだ。」
- 解説:「John runs faster than Ken」という標準的な表現から「Faster than Ken」を前に置くことで、ジョンがケンよりも速く走ることを強調しています。つまり、「Faster than Ken」が一つのセットで、補語として文頭に出ています。その後の「runs John」は、「動詞+主語」の形にひっくり返っています。
SVOO/SVOCの強調による倒置は、ほぼ起こらない
SVOO/SVOCの文型: これらの複雑な文型では、一部を抜き出して文頭に持ってくることは非常にまれです。万が一、強調される要素が前に来ても、SVOCの「C」が前に来たとしても、SVの倒置は起きません。
SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)のパターン
- The book I gave John.
- 訳: 私はジョンにその本を与えた。
- 解説: 「I gave John the book」という通常の語順から、「The book」を文頭に出すことで、本への関心が強調されますが、後続の倒置は起きません。この文型は元々複雑で、強調される単語が前に出るだけで、SVOOの標準的な語順は保持されます。
SVOC(主語+動詞+目的語+補語)のパターン
- President they named her.
- 訳: 彼らは彼女を大統領に指名した。
- 解説: 「They named her president」という通常の語順から、「President」を文頭に出すことで、大統領という地位への焦点が強まりますが、倒置は起きません。SVOC文型は複雑さを持ち、強調されるCが前に出ても、それ以外の語順は変わりません。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 英語における倒置は、様々な文脈で使用され、文に特別な効果をもたらします。この記事は、倒置を特集したシリーズの第3弾で、特に仮定の文脈での倒置に焦点を当てています。以前の記事では、「否定の倒置」と「強調語句が文頭に来る倒置」を扱いました。仮定法については、別の記事で詳しく解説しています。 […]